新潟へ移住するまでの経緯・概要
[平山さん]私は岩手県で生まれ育ち、仙台市のデザイン専門学校を卒業。上京しデザイン会社に就職して、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。雑誌や広告、パッケージ、ポスターなどのデザインを手掛けていました。都内で数社のデザイン会社で働いた後にフリーランスとなり独立しました。
[安達さん]私の地元は新潟県新発田市で、新潟市の専門学校を卒業するまで新潟で過ごしました。卒業後は東京のデザイン会社への入社が決まり上京。その会社で出会ったのが夫の平山でした。
[平山さん]お互いにデザイナーとしてキャリアを重ね、ともにフリーランスとなった後もさまざまな仕事を手掛けてきました。2013年からはhimaraya designとしてふたりで仕事をするようになり、2015年に結婚しました。しかし、ここ1、2年で出版業界が厳しい状況になり、雑誌の休刊や発行頻度の減少が相次ぎ、デザインの仕事自体が減っていったのです。
[安達さん]そのことが、自分たちの仕事や暮らしを考えるきっかけになりました。一方で、私自身はいつか生まれ育った新潟で仕事をして故郷に貢献したいという気持ちを持っていました。その後、夫と話し合いを重ねて、新潟に移住することを決断。2020年の2月から新潟市で暮らし始めました。
新潟へ移住したきっかけ
[安達さん]フリーランスの苦労も分かっているからこそ、移住についての話の主は仕事のことでした。夫はまだまだ東京でトライしたいという気持ちもあったのですが、私に押し切られて新潟に行くことを了承してくれたというのが正直なところです(笑)。
[平山さん]妻と移住について話すなかで、次第に「新しい場所でゼロからチャレンジしてみよう」という気持ちになれたのが一番大きかったと思います。新潟は産業の面を見ても日本酒や三条・燕地域の金属加工や洋食器産業など、デザイナーという職種が活躍できる場所がたくさんあると思ったのです。最終的には「思い切ってやってみよう!」とポジティブな決断をして新潟で暮らすことを決めました。
[安達さん]また、新潟での仕事のためにいろいろリサーチをしていた時に、地元の企業と私たちのようなデザイナーをつなぐ『新潟クリエイティブバンク』というウェブサービスを知ることができたことが仕事の面での安心感につながりました。
新潟へ移住してよかったこと・苦労したこと
[平山さん]東京にいた頃から手掛けていた仕事はそのまま続けていますし、都内にいなくても変わらずに仕事ができるという点はよかったと感じています。打ち合わせ等もオンラインでできる時代になりましたし、新潟にいながら東京や私の地元である岩手からの仕事ができるのはありがたいことです。こんな時代だからこそ、どこにいてもチャンスはあるし、ある意味時代に合わせた働き方ができているのかなとも感じます。ただ、私は県外出身者ですし、妻も新潟で働いた経験がない分、新しい仕事を創るための自分たちのPR活動にはとても苦労しています。本来なら新規でいろんな新潟の企業を訪問したいところなのですが、新型コロナウイルスの影響などでそれができていないことは残念です。地の利がないなかで新しい仕事を創るのは容易なことではありませんし、そういう面での覚悟は移住を決めるうえでも重要なポイントになると思います。
[安達さん]住まい兼仕事場は西区なのですが、駅やバス停が近く、クルマがない私たちにもすごく便利な場所だし、快適な暮らしができています。ふたりとも長く東京で生活していたので、電車やバスなどの公共機関と徒歩での移動には慣れています。時々「え! そんなところまで歩いたの?」と驚かれることもありますが(笑)、現状は公共交通と自転車、徒歩でストレスなく移動ができています。あと、暮らしてみて感じるのは食のレベルの高さです。特に野菜やお米のおいしさには、新潟を離れるまで気づけませんでしたが、Uターンした今改めてそれを感じています。
新潟へ移住を検討している方へのメッセージ
[平山さん]食のレベルの高さや自然の豊かさなど、暮らす場所として新潟市は本当によいと感じています。私たちのように東京にいなくても東京の仕事もできるのが今の時代であり、これからはスタンダードな働き方になるのかも知れません。新潟では単に仕事をこなすだけでなく、あらゆる面における“デザインの必要性”を自分たちから発信していきたいと思っています。環境とテクノロジーによってリモートワークが当たり前になりました。だからこそ、新潟出身で地元に戻って働いたり起業したりしたい人にはもちろん苦労も伴うとは思いますが、ぜひ新潟でチャレンジしてほしいと思います。
[安達さん]東京でデザイナーとして仕事をしてきた経験を活かして、これからデザイナーを目指す新潟の若い人たちにこの仕事の素晴らしさと必要性を伝えられたらと思っています。自分自身では新潟に戻ってから間もないので、新潟のいいところを少しずつ見つけながら毎日を楽しんでいきたいと思います。