新潟へ移住するまでの経緯・概要
わたしが代表を務める&kidea.(アンドキデア)は木で作られたもののよさ、木で日用品を作る楽しさを伝えるためのワークショップや木工キットの企画・製作を行っています。現在は関東や新潟で、子ども向けの木工ワークショップを開催したり、大人のDIY講座を開いたりしています。ほかにオーダーメイドの家具製作などをしています。
出身は静岡県ですが、大阪の電動工具メーカーやDIY専門店で働いていたので長く大阪で暮らしていました。ある時、当時働いていたDIYショップが東京に新店舗を構えることになり、その立ち上げのためしばらく東京に行きました。その時にアルバイトとして出会ったのが新潟出身の妻でした。その後、私はそのお店を退職し独立して&kidea.を立ち上げ、2019年に妻と結婚。都内を中心に仕事をしながら横浜で暮らしていました。ですが、新潟に住む妻の父が重い病気を患ったこともあり、少しでもそばにいてあげたいという妻の気持ちもあったため、2021年夏に妻と新潟市に移住しました。
新潟へ移住したきっかけ
義父が病気になり、余命が短いという現実を突きつけられたのは移住する大きな要因ではありました。特に2020年の春からは新型コロナウイルスの感染拡大があり、定期的にお見舞いに来ることすらはばかられる状況が続きました。自分に置き換えても、家族が病気で苦しんでいたらそばにいてあげたいのは当然のこと。妻の気持ちになって考えた時、新潟に行くことに迷いはありませんでした。
加えて、コロナ禍によって仕事面の変化が生まれてきたことも、いい意味で移住への追い風になりました。それまで木工のワークショップであれば、当然参加者と直接会って指導をしていたわけですが、それがオンラインに変化しました。また、ワークショップのための木工キットの製材作業などは、機械さえあればどこでもできます。新潟の自分の工房でキットを製作して都内へ配送することもありますし、大型の木材の製材をする時は埼玉県春日部市にある作業場をレンタルし、そこで1カ月のうち1週間ほど作業をすることもあります。時代と通信環境の変化で、どこにいても仕事ができるという感覚を持てたのは自分自身のビジネス面にもプラスになったと感じています。
新潟へ移住してよかったこと・苦労したこと
私はあまり魚介が得意ではないので、そのおいしさに感動できないのは残念なのですが(笑)、野菜のおいしさは、よかったこととして挙げられます。妻と出会う前の新潟の印象と言えばお米と魚介。なので、そのクオリティの高さは想像できていたのですが新潟産の野菜がこんなにおいしいということは、新たな発見でした。よく買い物に出かけるのが、西区にある農産物直売所の「いっぺこ~と」。ここで買う野菜のおいしさは感動ものです。また、住まいが西区の海の近くなので、あたたかい季節には、時々朝の海に出かけてコーヒーを飲んだりします。その時間はとても贅沢だと感じます。
また、移動の面では、横浜の自宅から埼玉県春日部市の作業場まで移動すると電車で2時間半程度かかっていました。ところが新潟からでも新幹線なら同じ所要時間で行けてしまうことには驚きましたし、新潟市と東京のアクセスのよさを知りました。今はクルマでの移動が当たり前になっていますが、すぐに慣れましたし快適です。横浜にいた頃は通勤に満員電車で1時間、2時間は当たり前。それがなくなり、自分の都合に合わせて好きな場所にクルマで行けることはすごく便利だと感じています。
新潟へ移住を検討している方へのメッセージ
「東京じゃなくてもいいのかも」と少しでも感じたことがある方なら、新たな暮らしのステージとして、新潟市は候補になると思います。環境さえ整えばどこでも仕事ができる人なら、今こそ新しい時代に合わせた働き方や暮らし方にシフトチェンジしやすいタイミングかも知れません。
新潟市に住み始めて、さまざまなことが変化しました。横浜市と新潟市では家賃などは大きな差がありますし、実際に家賃は同じでも部屋は広くなりました。それはお金の面での一つの例ですが、トータル的に心が豊かになっていることを実感しています。ほどよく都会で、ほどよく田舎。ちょうどいい暮らしができると思います。
ただ、新潟に来て1年も経っていないこともあり、東京からの仕事がほとんどというのが現状です。私のように自営業の場合だと、地場の企業や人とつながりを作ることが必要だと思います。ですが、ありがたいことに新潟の方は親身になっていろんな人を紹介してくれる人が多いです。なので、新潟で出会った人との縁を大事にして新潟での仕事を増やしていきたいですし、Wood+Idea=kidea.という名前を新潟の人たちに知ってもらい、木工の楽しさを伝えていきたいです。