新潟へ移住するまでの経緯・概要
新潟に移住して間もなく10年が経ちます。今は市内に自宅兼アトリエを構えて、アーティストとして抽象絵画をメインにした創作活動を行っています。自ら描いた絵を雨に打たせたり、浜辺で波にさらしたり、風に描かせたりという方法を取り入れ、自然に力を借りて作品制作を行っています。
出身は愛知県の岡崎市です。東京藝術大学への進学をきっかけに東京に行き、そのまま卒業後も長く東京で暮らしていました。2010年、当時写真家として積極的に活動していたことと、さまざまな出会いがきっかけで、東京と新潟市の2会場で写真展を開かせてもらいました。その新潟開催に携わっていたのが現在の妻でした。そこでの出会いをきっかけに付き合うようになり、次第に東京から彼女の住む新潟市に足を運ぶ頻度が増えていきました。その後、2011年11月に結婚。「僕が新潟に行くよ」と宣言をして、東京での仕事や暮らしを切り上げて新潟市に移住しました。ちょうど、自分としても絵画の制作活動に専念したい気持ちが強くなった時期でもありましたし、妻との結婚というタイミングで新潟市を拠点にすることを決めました。
新潟へ移住したきっかけ
自分の性格的にもともと土地に執着があるタイプではありませんでした。長く東京で生活していたこともあって「新しい景色が見たい」という気持ちが強かったですし、それは新潟に移住することを決めた大きな理由でした。加えて、妻は新潟生まれで、結婚をする前に「新潟から離れたくない」と言っていましたので、自分が新潟に来て一緒に暮らすのがよいと思ったのも事実です。
また、アーティストとして活動するうえで、絵を描いたり作品制作をしたりするためのアトリエも作りたかったですし、それには物理的に広いスペースが必要です。都内よりも新潟の方がその希望を叶えやすいのは間違いありませんでしたし、実際に今はかなり広い一軒家の中に自分のアトリエを構えることができ、そこで作品制作を行っています。
新潟へ移住してよかったこと・苦労したこと
自然環境が東京とは大きく異なりますし、アーティストとしての創作活動や生み出している作品は、新潟に来たことで大きく変化していると思います。例えば街なかでの植生も東京と新潟では違います。そこから着想して葉っぱに絵具を付けてスタンプする作品を創ってみたり、キャンバスに絵具を盛り、雪の斜面を滑らせて作品を創ってみたり。これは新潟という土地でしか、なし得ない創作だと思いますし、アイデアが生まれやすい豊かな自然環境のなかに身を置くことができているのは、よかった点だと思います。外出する時はカメラを持っていくことが多いですし、冬は何気ない日常の雪景色や白鳥の姿を写真に収めたりしています。シャッターを切りたくなる風景が、日々の暮らしのなかにあることは、とても幸せなことだと思います。
東京という場所のいいところは、あらゆるものが最新で街を少し歩くだけで多くの情報を得ることができるところです。そういう面での劣勢があるのは事実ですが、例えば画材にしても不自由等はありませんし、創作活動をするうえで東京との差を感じることはありません。
新潟へ移住を検討している方へのメッセージ
新潟市はコンパクトで非常に暮らしやすい街です。そして、都内と比べれば圧倒的に家賃が安いです。都内で一戸建てに住むとなると、とんでもないお金が必要になりますが、新潟市なら家を建てるにも借りて住むにしても、ある程度の広さの住まいを手に入れることができるはずです。
海があって、緑が美しく揺れ、空が広い――。新潟の方からすれば当たり前のことだと感じるでしょうけれど、県外から来た自分としてはそれが本当に印象的ですし、素晴らしいと感じています。日本海に沈む夕日を写真に撮ることもありますし、季節を問わず登山をするようにもなりました。阿賀町や関川村など、新潟市から車で1時間ほど走るといろんな山がありますし、気軽に行けるのは非常に魅力的です。
また、豊かな食文化も新潟の特徴。特においしい日本酒がたくさんあるのは幸せです。いつの間にか晩酌は日本酒になりましたし、各蔵の個性を感じながら料理に合わせていろんなお酒を味わえるのは新潟ならではの暮らしだと感じます。
10年という時間を過ごした経験から言えるのは、こんな風に自然と一緒に過ごす時間を望む人なら、新潟市はとてもよい場所だということです。心が穏やかで、だんだんと豊かになる――そんな日々のなかで、新潟の自然を活かし、自分ならではの作品を創り世界に発信していきたいと思っています。
山口達己公式サイト